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クラウドソーシングでアンケートを取ると、適当な回答はどれくらい混ざるのか。300人で数えた

クラウドソーシングでアンケートを取ると、適当な回答はどれくらい混ざるのか。300人で数えた

記事を書くのに「100人に聞きました」というデータが欲しいとき、私はクラウドソーシングを使っています。仕事を発注できるサイトのアンケート機能です。

これを人に話すと、必ず同じことを言われます。「そんなの、適当に答える人ばっかりでしょ」と。

私も最初はそう思っていました。ただ、直近で3回・合計300人に聞いて、回答を1件ずつ読みました。結果は、思っていたよりずっとまともでした。

この記事では、実際の数字と実際にかかった金額、そして「本当に困ったのは回答者ではなかった」という話を書きます。

目次

結論から。300人のうち、使えなかったのは19人

3回とも100人ずつ、すべて自分で全件読んで判定しました。

調査回収使えなかった回答中身
1回目
ビジネスマナーについて
100人13人手を抜いた回答10人+生成AIに書かせた回答3人
2回目
野生動物の目撃について
100人1人全設問で最短の選択肢+自由記述が2文字
3回目
AIが書いた文章の見分け
100人5人設問に答えていない3人+文章が途中で切れていた2人
合計300人19人(6.3%)
いずれも1件ずつ全文を読んで判定しています(2026年8月〜9月実施)

300人中19人。9割以上はちゃんと答えています。

しかも19人の中身を見ると、明確に手を抜いたと言えるのはもっと少ないです。3回目に除外した5人のうち2人は、文章が途中で切れていました。「思いません。 この時代においてAIを支えることも能力の一つであり、」で終わっている、という感じです。これは手抜きというより、書きかけで送信してしまった事故でしょう。

2回目は100人中1人だけでした。全設問でいちばん短い選択肢を選び、自由記述が2文字。この1人を見つけるために100件読んだわけですが、逆に言えば99人はまじめに書いてくれていたということです。

いちばん多かったのは1回目。設問の作り方で減った

13人・1人・5人。並べると、1回目だけ突出しています。

1回目でいちばん驚いたのは、生成AIに書かせた回答が3人いたことです。文体で当たりをつけて、プロフィールと照らして判定しました。人の本音を聞きたい調査に、AIの平均的な答えが混ざる。これがいちばん困ります。

そこで2回目以降、依頼文と設問をこう変えました。

対策1

自由記述に「20文字以上」の必須設定をかけた。

これがいちばん効きました。3回目では「特にない」「わからない」だけの非回答が完全に消えています。いちばん短い回答でも21文字あり、しかも設問への答えになっていました。

対策2

依頼文に「生成AIで文章を作ったものは使えません」と明記した。

あわせて、承認しない条件も具体的に列挙しました。2回目・3回目では、AIに書かせたと判断した回答は出ていません。

対策3

「外しても報酬は変わりません」と先に書いた。

3回目は正解のあるクイズ形式だったので、当てにいかせないためです。「むしろ、どこを見てそう思ったかが知りたい」と書きました。結果、判断の理由がしっかり書かれた回答が集まりました。

やったことは、これだけです。特別な審査機能を使ったわけではありません。依頼文と設問の書き方を変えるだけで、13人が1〜5人になりました。

本当に困ったのは、回答者ではなく私の設問だった

ここが、3回やっていちばん強く思ったことです。

回収したデータが使えなかったとき、原因のほとんどは手抜き回答ではありませんでした。私の設問の作り方が悪かった。実際に起きたことを並べます。

失敗1

「見たことがない」を選んだ人が21%出た。そのあとの自由記述が全部「見たことがない」になり、記事に1文字も使えなかった。

→ 未経験の人には別の質問を出すか、経験者だけに絞る。

失敗2

動物について聞いたら、ヘビ・鳥・ツバメの話が返ってきた(5件)。私は哺乳類の話を聞きたかったのに、設問文に「哺乳類」と書いていなかった。

→ 対象は設問文に書く。「常識でわかる」は通じない。

失敗3

「日本国内」と書かなかったので、海外での体験が返ってきた(2件)。

→ 範囲も設問文に書く。

失敗4

「聞いたことがありますか」の直後に「その情報源は?」を置いた。すると聞いたことがない人が情報源を答えるという矛盾が4件出た。

→ 分岐にして、「ない」なら次を飛ばす。

失敗5

3回目でも同じ失敗をした。「来た側として経験がある」と答えた人が9人、迎えた側についての設問に実体験で答えていた。「経験はない」という選択肢を用意したのに、選ばれなかった。

→ 分岐の作り方はまだ改善できていません。次の課題です。

失敗6

年齢欄に「35歳」と書く人が出た。数字だけで集計しようとしていたので手作業になった。都道府県を「福岡」と県を落として書く人も出た。

→ 年齢は「半角数字のみ」と明記。都道府県はプルダウンにする。

失敗7

「見たことがある動物」を聞いたのに、どこで見たかを聞き忘れた。その結果、都道府県別の分析が一切できなくなった。「ヒグマを見た」と答えた5人のうち3人が本州在住で、誤認に見えたけれど旅行先で見た可能性を消せず、記事から撤回するしかなかった。

→ 体験を聞くなら「どこで」を必ずセットで聞く。

7つ並べましたが、回答者が悪いものは1つもありません。全部、私が設問を書くときに潰しておけたことです。

「クラウドソーシングのアンケートは適当な回答が多い」という前提でいると、ここを見落とします。実際にデータを使えなくするのは、手を抜いた数人ではなく、まじめに答えた97人が全員同じ勘違いをするような設問のほうです。

費用は、100人で1,160円だった

お金の話をします。3回とも同じ条件で出しました。

1人あたりの報酬

10

設問数は18問。1人につき10円で、5〜8分ほどかかる分量です。

100人ぶんの合計

1,160

手数料を含めた実際の支払額です。1回の調査でこの金額。

この1回から書いた記事

2〜3

設問を最初から複数の記事ぶん詰め込んでいるので、1回で何本か取れます。

ここが、私がクラウドソーシングを使い続けている理由です。記事1本の材料が、1,000円ちょっとで手に入る。しかも設問を詰め込めば、1回の支払いで2〜3本ぶんの材料になります。

ひとつ補足すると、単価は自分で決められます。1件5円から設定できるので、もっと安く出すこともできます。私が10円にしているのは、18問で5〜8分かかる分量だからです。

つまり「クラウドソーシングだからいくら」ではなく、聞く量に合わせて自分で決めるということです。設問が3つ4つなら5円でいいでしょうし、逆に考えて書いてもらう調査なら上げたほうがいい。ここは発注する側の裁量です。

料金を公開している調査ツールと、実額で比べてみる

ここは料金を公開している会社があるので、その数字を引かせてもらいます。

セルフ型のアンケートツール「Freeasy」の料金ページには、「1問×1人回収 10円」と明記されています。最低料金は500円。料金表も公開されていて、10問×100人で10,000円です。この「1サンプル×1設問×10円」という体系はセルフ型では一般的な水準で、別の解説記事でも同じ相場が挙げられています。

これを今回と同じ条件、18問を100人にあてはめると18,000円。並べるとこうなります。

クラウドソーシング(私の実額)

1,160円

18問・100人・手数料込み。単価は自分で決める(今回は1件10円)。回答の判定と除外は自分でやる。

セルフ型の調査ツール(公開料金からの計算)

18,000円

1問×1人10円 × 18問 × 100人。属性を指定して集められる。

およそ15倍です。ただ、これは「同じものが15倍」ではありません。払う金額には理由があります。

ひとつは属性を指定して集められること。もうひとつが、いいかげんな回答を無効にして、その人数ぶんを追加で集め直してくれることです。これは実際に手間のかかる作業です。

おもしろいことに、この作業にもちゃんと値札がついていました。同じ料金ページのオプションに「データクリーニング:1問1人15円」とあります。18問×100人なら27,000円。不良回答を外す作業のほうが、調査そのものより高いという値付けです。

出典:セルフ型アンケートツール Freeasy「料金」(2026年9月時点)。金額は同社の公開料金表から引用し、18問×100人ぶんは単価から計算したものです。会社やプランによって体系は違います。

そのうえで、私の正直な感覚を書きます。その作業を代わりにやってもらうために15倍を払おう、とはあまり思えませんでした。

理由は、上に書いた数字です。無効にする対象が、300人中19人しかいない。1回あたり1〜13人です。この人数を自分で見つけて外す作業は、CSVを落として全件読めば1時間かからずに終わります。

しかも、いまは1時間もかかりません。ClaudeやChatGPTにCSVを渡して「全設問で最短の選択肢を選び、自由記述が設問の答えになっていない人を挙げて」と頼めば、1分もかからずに候補が出てきます。今回の5人も、そうやって見つけました。最後に自分の目で確かめるだけです。

ここは3年前なら違う結論だったかもしれません。データクリーニングという作業の値段が、AIによって下がった。だから外注する理由も、その分だけ減りました。

それに、全件読む作業自体が無駄になりません。記事に引用する言葉は、この読む作業の中で見つかります。集計だけ受け取っていたら、絶対に拾えなかった一言がいくつもありました。

いちばんの弱点は、年齢・性別を指定できないこと

ここは正直に書きます。クラウドソーシングのアンケートには、はっきりした弱点があります。

誰に答えてもらうかを、こちらから選べません。「30代女性を50人」という集め方ができない。依頼文に「日本在住の方に」と書くことはできますが、それが守られているかを確かめる手立ては、こちらにはありません。品質管理の手段は「いいかげんな回答をした人をブロックして、次回以降を防ぐ」だけです。

私がやっている確認は、こうです。

依頼文に「プロフィールで年齢・性別が確認できない場合、法人アカウントの場合はタスクをお断りすることがあります」と書いておく。そして回収後、プロフィールと回答内容を照らして、合わないものは承認しない。
これでも「本人が本当にその年齢・性別か」は分かりません。分かるのは「プロフィールに書いてある内容と矛盾していないか」までです。

年齢・性別を指定して集められるのは、調査会社の明確な強みだと思います。これは認めます。

そのうえで、ひとつ引っかかっていることがあります。ここからは推測です。

【これは私の推測です】
調査会社のパネルも、答えているのは登録した個人です。だとすれば「指定できること」と「指定どおりの人が答えていること」は、別のはずだと思っています。登録時に年齢や性別を偽っている人、家族が代わりに答えている人がいない、とは言い切れないのではないか。
私は調査会社の内部の仕組みを知らないので、これは確かめていません。ただ、属性が保証されているつもりでデータを読むのは、どちらの方法でも危ないと思っています。

だから私は、記事に書くときは必ず「日本全体の意見ではなく、100人がこう答えた」という書き方にしています。クラウドソーシングの登録者に聞いている時点で、在宅で働く人やフリーランスに寄っているのも分かっているので、それも毎回書きます。

この「限界を書く」という手間は、値段では省けません。数万円払っても、分母の性質は消えないからです。

これから使う人が、先に潰しておくこと

3回やって固まった手順を置いておきます。順番が大事です。

  1. 何本の記事を取るか、設問より先に決める。1回1,160円なので、1本のために出すのはもったいない。私は毎回2〜3本ぶんの設問を詰め込みます
  2. 自由記述は20文字以上を必須にする。これだけで非回答がほぼ消えます
  3. 対象と範囲を設問文に書く。「哺乳類」「日本国内」を書かないと、書かなかったぶんが返ってきます
  4. 経験を聞くなら「どこで・いつ」をセットで聞く。これを忘れると分析ができません
  5. 「ない」と答えた人が次の設問に答えられない形にする。分岐を使う
  6. 年齢は半角数字のみと明記。都道府県はプルダウン
  7. 依頼文に、生成AIで答えるのは不可と書く。あわせて承認しない条件を具体的に並べる
  8. 回収後は必ず全件読む。ここで除外対象を見つけ、同時に引用する言葉を拾います
  9. 除外した人数は、記事に書く。分母は100人のまま据え置いて、除外分は「不明・無効」として表に残します。87人で割り直すと、数字が実際より大きく見えてしまうからです

9番だけ補足します。除外した人を消して割り直したくなりますが、それをやると数字が盛られます。表に「不明・無効13人」と残しておけば、読む人がそこを差し引いて考えられます。これは自分のためでもあって、あとから見返したときに何をやったか分かります。

まとめ:デメリットは想像より小さく、メリットは桁で効く

最初の質問に戻ります。「クラウドソーシングでアンケートを取ると、適当な回答ばかりになるのか」。

答えは「いるけれど、300人中19人だった」です。そしてその19人は、設問の書き方でさらに減らせました。

私の結論はこうです。

クラウドソーシングが向いている場合

記事や発信の材料が欲しい。属性の厳密な代表性より、生の言葉が欲しい。全件読む時間が自分にある。この条件なら、1,160円は安すぎるくらいです。

調査ツール・調査会社に頼むべき場合

属性ごとの比較が結論の中心になる。社外に出す資料で、集め方の説明責任が必要。回収後の作業に人手を割けない。この条件なら、15倍払うぶんの理由があります。

私の場合は前者です。欲しいのは「30代女性の何%」ではなく、「じゃあ何を書けば人間だと思われるんだろう」と考え込むきっかけになる、誰かの一言のほうなので。

それが1,160円で100人ぶん届きます。3回やって、次もやると決めています。


この3回で実際に何が分かったのかは、それぞれ記事にしています。設問の作り方や除外の考え方も、記事の最後に全部書いてあります。

3回目の調査
自分で書いた文章が「AI」と判定された。100人にAIと人間の文章を見分けてもらった 「この文章、AIが書いたでしょ」と言われたら、たぶんわたしは腹が立ちます。自分で書いたからです。 逆に、届いたメールを読んで「これはAIだな」と思うこともあります...
1回目の調査
「了解です」は失礼、と教わった。100人に聞いたら、怒っていたのは4人だけだった 社会人になったとき、「了解しました」は目上の人に使ってはいけないと教わりました。正しくは「承知しました」。以来わたしは、送信ボタンを押す前に一度手を止めて、...

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サイト運営者のカツです。
私は2017年9月からフリーランスとして活動しています。
主に、Webサイト制作やデザインのお仕事などを行っています。
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