「相互リンクしませんか」というメールが、この3週間で6通届きました。送ってきたのは5社です。
2026年です。2012年でも2016年でもありません。正直、まだ来るのかと思いました。
相互リンクでSEOが上がる、という話には、Googleが公開している文書にはっきりした答えが書いてあります。それも、遠回しにではなく、名指しでです。届いた文面を全部並べて、その公式文書と突き合わせてみました。
結論から言うと、効果が無いどころか、頼まれてリンクを貼った側にリスクがあります。そして、これを勧めてくる相手は、知識が10年前で止まっています。
まず、届いた文面をそのまま載せます
社名・サイトURL・氏名・メールアドレスのドメイン・管理番号は伏せます。それ以外は一字も変えていません。誤字も、句読点の無い長い一文も、そのままです。
1社目件名:相互リンクのご提案(営業ではありません)/ 差出人:backlink@◯◯◯◯◯◯.com
サイト運営者様
突然のご連絡、失礼いたします。
私は、◯◯◯◯にて、Web広報を担当しております◯◯と申します。
いつも貴サイトを拝見しており、ユーザーの目線に立った丁寧で温かいコンテンツ作りに、同じメディア運営者として大変刺激を受けております。
本日は、そんな素晴らしい貴サイトと当サイトとで連携ができないかと思い、思い切ってご連絡いたしました。
■ ご提案の背景
私たちのサイト( https://◯◯◯◯◯◯.jp/ )でも、読者の方々の毎日の暮らしを少しでも良くしたいという想いで情報を発信しております。
貴サイトの読者様に寄り添う真摯な姿勢に深く共感し、ぜひご一緒にお取り組みができればと考えました。
■ 相互リンクのお願い
もしよろしければ、お互いのサイトをご紹介し合う「相互リンク」をさせていただけないでしょうか。
双方のサイトがリンクで繋がることで、読者様により幅広い情報をご提供できるようになり、毎日の暮らしを豊かにするお手伝いができるのではないかと期待しております。
■ 今後のご連絡について
※なお、日中は外出していることが多く、お電話では十分なご対応ができないことが多々ございます。誠に恐れ入りますが、ご連絡はメールにて頂戴できますと大変助かります。
もしお返事いただける際は当社管理番号を削除せずご返信願います。
管理番号: ◯◯◯◯◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
丁寧です。丁寧すぎて、逆に何も言っていません。「貴サイトを拝見して」と書いてありますが、どの記事を読んだのかは一言も書かれていません。
次は、もっとはっきりしています。
2社目件名:営業ではありません。相互リンクのご相談 / 差出人:backlink@◯◯◯◯◯◯.com
ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。◯◯◯◯◯◯◯◯ ◯◯ と申します。
かねてより貴社のサイトを拝見しておりました。細部まで丁寧に作り込まれたコンテンツ発信に、いつも深い感銘を受けております。
この度は、良質な情報を発信されている貴社と、ぜひ相互にリンクを設置させていただければと思いご連絡いたしました。
もちろん費用はいただきません。
検索エンジンからの評価向上や、より多くの方に貴社の魅力を知っていただく機会になれば幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、もしご興味をお持ちいただけましたら、貴社のリンク掲載をさせていただきますので、
簡単なご返信をいただけますと幸いです。
なお、当店は一般のお客様からのご予約やお問い合わせの電話が多く、大変恐縮ですが、ご連絡はメールにていただけますようお願い申し上げます。
もしお返事いただける際は当社管理番号を削除せずご返信願います。
管理番号: ◯◯◯◯◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
「もちろん費用はいただきません」。ここを読んで、お金が動かないなら健全だ、と受け取る人がいると思います。そこが、この記事でいちばん伝えたいところです。あとで書きますが、Googleが禁止しているのはお金の話に限りません。
そして3社目。これは、目的を自分で書いてくれています。
3社目件名:【相互リンクのご提案】貴サイトを拝見してのご連絡 / 差出人:◯◯◯◯@◯◯◯◯◯◯.com
突然のご連絡失礼いたします。
◯◯◯◯(https://◯◯◯◯◯◯.net/)で、Web担当をしております◯◯と申します。
貴サイトの記事を拝見し、読者目線の質の高い情報発信に大変共感いたしました。
本日は、ぜひ貴サイトと弊社の間で「相互リンク」のお願いができないかとご連絡いたしました。
現在、弊社では自社サイトのドメインパワー強化やSEO対策に力を入れており、
親和性の高い優良なサイト様と積極的に相互リンクを行っております。
貴サイトと連携させていただくことで、検索エンジンからのサイト評価(SEO効果)が双方で向上し、
読者様にとってもより幅広い情報にアクセスできるという大きな相乗効果があると考えております。
■ご提案内容
弊社サイトにて、貴サイトをご紹介させていただきます。
貴サイトにて、弊社へのリンクをご設置いただきたく存じます。
※ご紹介時の紹介文はすべて弊社で作成可能ですので、お手間は取らせません。
もしお返事いただける際は当社管理番号を削除せずご返信願います。
管理番号: ◯◯◯◯◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
「ドメインパワー強化やSEO対策に力を入れており」。検索順位を上げるためにリンクを集めている、と本人が書いています。このあと引用するGoogleの定義文と、ほぼ同じ言葉です。
残り2社も、骨格は同じでした。1社は本文中に、こう書いています。
現在私どもはホームページ制作は◯◯(地名)のWEBサイトHP制作会社の◯◯◯◯へという自社サイトを展開しております
これは社名ではありません。検索されたいキーワードを並べた文字列です。メールの本文に、貼ってほしいリンクの文言が、もう完成した形で入っています。
もう1社は、いちばん短い版でした。「貴サイトのような質の高い情報サイト様と繋がることで、お互いの読者様にとって、より情報の幅が広がり、満足度向上に繋がるのではないか」。そして同じように、末尾に管理番号が付いていました。
5社の文面を並べて、共通点を数えた
1通ずつ読むと「丁寧な人だな」で終わります。5通並べると、別のものが見えます。
| 5社の文面に共通していたこと | 該当 |
|---|---|
| 末尾に「当社管理番号」として、英数字の羅列(36桁・同じ形式)が付いている | 5社 |
| 「電話には出られないので、連絡はメールで」と書いてある | 5社 |
| 送信元メールのドメインと、リンクしてほしいサイトのドメインが別 | 4社 |
| 件名か本文に「営業ではありません」と書いてある | 3社 |
送信元アドレスが backlink@ で始まる | 3社 |
| SEO効果・検索エンジンからの評価向上を、目的として本文に明記している | 2社 |
| どの記事を読んだのか、具体的に書いてある | 0社 |
3つ、気になったことがあります。
ひとつめ。5社とも末尾に管理番号が付いていました。「もしお返事いただける際は当社管理番号を削除せずご返信願います」という一文まで、5社とも同じです。返信を管理番号で自動的に紐づける仕組みがある、ということです。1社1社が思い立って書いた手紙ではなく、送信ツールから一括で出ています。
ふたつめ。5社中4社は、メールのドメインとサイトのドメインが別でした。会社のサイトは ◯◯◯◯.jp なのに、メールは backlink@◯◯-◯◯◯◯-◯◯.com という、そのサイトとは無関係の別ドメインから届きます。backlink(被リンク)という単語が、そのままアドレスに入っている会社もありました。
みっつめ。5社とも、どの記事を読んだかを書いていません。「読者目線の質の高い情報発信に大変共感いたしました」とは書いてあります。でも記事名はゼロです。読んでいないからです。
Googleの公式ドキュメントには、こう書いてある
ここからが本題です。Googleは「ウェブ検索のスパムに関するポリシー」という文書を公開しています。そこに「リンクスパム」という項目があって、定義がこう書かれています。
リンクスパムとは、検索ランキングを操作することを主な目的として、サイトへのリンクやサイトからのリンクを作成する行為です。
そして、その「例としては、次のようなものが挙げられます」という箇条書きの、リンクの売買のすぐ次に、これが並んでいます。
過剰な相互リンク(「リンクする代わりにリンクしてもらう」)や、相互リンクのみを目的としてパートナー ページを作成する
「リンクする代わりにリンクしてもらう」。届いたメールに書いてある内容と、一字一句とは言わないまでも、同じことです。
ここで大事なのは、この箇条書きが「お金が動いたら」という条件になっていないことです。金銭のやり取りは別の項目として先に書かれていて、相互リンクはそれとは独立して並んでいます。「もちろん費用はいただきません」は、何の免罪符にもなりません。
そしてこのポリシーに違反したサイトがどうなるかも、同じ文書に書かれています。検索結果で掲載順位が下がるか、まったく表示されなくなることがある、と。
2020年頃までは、たしかに効きました
ここは正直に書きます。相互リンクは、昔は効きました。効いたから業者が生まれ、そのやり方が営業テンプレとして今も生き残っています。
ただ、Googleは何もしていなかったわけではありません。公開されている記録を年で並べると、こうなります。
- 2012年4月:「ウェブスパムをターゲットにした重要な変更」を検索アルゴリズムに入れたと発表。「リンクプログラムへの参加」が名指しされる(のちにペンギンアップデートと呼ばれるもの)
- 2016年9月:そのペンギンがコアアルゴリズムの一部になり、リアルタイム更新に。同時に「サイト全体のランキングを下げるのではなく、スパムのシグナルに基づいてランキングを調整する」方式へ変わる
- 2022年12月:AIベースのスパム防止システム「SpamBrain」をリンクスパムの検出に投入したと発表
- 2026年(現在):スパムポリシーに「過剰な相互リンク」が例として明記されたまま
この流れで、いちばん効いているのは2022年12月です。発表文にこう書かれています。
スパムリンクが無効化され、このような不自然なリンクによって得たクレジットが失われると、ランキングが変わる可能性があります。
「無効化」です。ここが、多くの人が誤解しているところだと思います。相互リンクを貼ると罰が下る、という話ではありません。そのリンクが、最初から無かったことになるだけです。
2012年頃のイメージ
罰
ガイドラインに違反したサイトの順位を下げる。だから「リンクを増やせば上がる/やりすぎると下がる」という理解になった。
2026年の実際
無
不自然なリンクは検出されて無効化される。上がりも下がりもしない。手間をかけた分だけ、何も起きない。
営業をかけてくる側から見ると、これは都合がいい話です。効かなかったことが、相手にバレないからです。順位が下がれば怒られますが、何も起きないだけなら「まだ時間がかかります」で済んでしまいます。
では、相互リンクは全部ダメなのか
いいえ。ここを雑にすると、この記事も嘘になります。
Googleが書いているのは「過剰な相互リンク」と「相互リンクのみを目的としてパートナーページを作成する」です。そして定義文の条件は「検索ランキングを操作することを主な目的として」です。
つまり、線はここで引かれています。
問題にならない
実際に一緒に仕事をした相手を、記事の中で紹介する。取材した会社にリンクする。参考にした資料の出どころを書く。
結果として相手からもリンクされていても、それは読者のためのリンクです。
名指しされている
面識のない相手と、貼り合うことだけを目的にリンクを交換する。そのためのリンク集ページを作る。
読者が読んで得をする理由が、どこにも無い状態です。
判断は簡単です。そのリンクを、自分の読者に見せて説明できるか。「なぜここにこのリンクがあるんですか」と聞かれて、「相互リンクの依頼が来たので」としか答えられないなら、それは読者のためのリンクではありません。
いちばん怖いのは、貼った側も対象になること
ここが、この記事を書こうと思った理由です。
相互リンクの話をするとき、たいていは「送ってきた側が悪い」で終わります。でもGoogleのSearch Consoleには、手動による対策の種類として、2つ別々の項目が用意されています。
- サイトへの不自然なリンク ── 自分のサイトに向けて、不自然なリンクが集められている
- サイトからの不自然なリンク ── 自分のサイトから、他サイトへ不自然なリンクを出している
後者、つまり「貼ってあげた側」にも手動対策の枠があるということです。しかも、その対策を受けたときの推奨される対応として、Googleはこう書いています。
サイトで、金銭と引き換えに掲載されているリンクや、過度の相互リンクなど、リンクスパムに関するポリシーに違反していると思われるリンクを特定します。
手動対策から回復する手順の中で、探して外すべきものとして「過度の相互リンク」が名前で挙がっています。そして手動対策を受けると、そのサイトの一部またはすべてが検索結果に表示されなくなります。
整理するとこうです。頼まれてリンクを貼った側が受け取るものは、ほぼ何もありません。リスクだけが、こちら側にも用意されています。
3社目のメールにあった「紹介文はすべて弊社で作成可能ですので、お手間は取らせません」も、この目で読むと意味が変わります。親切に見えますが、リンクの文言を送り主が決める、ということです。自分のサイトに、自分が書いていない、キーワードだけを並べた文字列が載ります。
「相互リンクで上がります」と言う人の見分け方
メールなら消せば済みます。問題は、これを対面で言ってくる制作会社やコンサルです。お金を払う相手なので、被害が大きい。
次の言葉が出てきたら、その人の知識は少なくとも2016年より前で止まっていると考えていいと思います。
| 出てくる言葉 | 公式の記述と照らすと |
|---|---|
| 「相互リンクを増やして被リンクを稼ぎましょう」 | スパムポリシーに「過剰な相互リンク」として例示されている行為そのもの |
| 「リンク集ページを作りましょう」 | 「相互リンクのみを目的としてパートナー ページを作成する」として、同じ箇条書きに載っている |
| 「ドメインパワーを上げましょう」 | Googleが公開しているランキングシステムの一覧に、その項目はない。載っているのは「リンク分析システムと PageRank」で、説明されているのはページ単位の話 |
| 「うちは強いサイトを持っているので効果が出ます」 | 2022年12月以降、不自然なリンクは無効化の対象。強いサイトからの不自然なリンクでも同じ |
| 「Googleにはバレません」 | バレる/バレないの話ではなく、AIによる検出と無効化が公式に公表されている。加えて手動対策の枠もある |
厳しい言い方をします。これらは、調べれば10分で分かることです。Googleの公式ドキュメントは日本語で公開されていて、無料で、検索すればすぐ出てきます。それを読んでいない人が、お金をもらってSEOの話をしている、ということになります。
SEOに詳しいかどうかを見分けたいなら、質問はひとつで足ります。「それ、Googleのどのページに書いてありますか」。URLが出てこなければ、その人はどこかで聞いた話を売っています。
制作の発注全般で似た話を前に書きました。あわせてどうぞ。
→ 実力不足デザイナーに気を付けろ!発注する時に意識すること!
→ SEO詐欺?ECサイト経由で悪徳業者はやってくる。30万円をかけた戦い。
私はこの6通をどうしたか
全部、管理画面で「対応する価値無し」に分類しました。返信はしていません。
断るつもりでも返信しない方がいい、と考えています。理由は、返信そのものが「このアドレスは生きていて、人が読んでいる」という情報になるからです。5社とも管理番号で返信を紐づける仕組みを持っていました。反応したアドレスの価値が上がる仕組みが、向こう側にあります。
もしすでにリンクを貼ってしまっていても、慌てる必要はありません。やることは3つだけです。
- そのリンクを消す。読者に説明できないリンクなら、消して困る人はいません
- 消せない事情があるなら、
rel="nofollow"を付ける(Googleが手動対策の対応手順として挙げている方法です) - 相互リンク集のようなページを作っていたら、ページごと下げる
数本のリンクで手動対策が飛んでくることは、まず無いと思います。ただ、置いておく理由も、同じくらい無いです。
まとめ
- 「相互リンクしませんか」の営業が、3週間で6通・5社から届いた(2026年8月18日〜9月9日)
- 5社とも末尾に同じ形式の管理番号が付き、5社とも「電話ではなくメールで」と書き、5社ともどの記事を読んだかを書いていない
- Googleのスパムポリシーは「過剰な相互リンク(「リンクする代わりにリンクしてもらう」)」をリンクスパムの例として名指ししている
- 禁止の条件は金銭ではなく「検索ランキングを操作することを主な目的として」。無料でもポリシー違反は成立する
- 2022年12月以降、不自然なリンクはAIで検出され無効化される。罰が下るのではなく、効果がゼロになる
- 手動対策には「サイトからの不自然なリンク」があり、その回復手順に「過度の相互リンク」が名前で挙がっている。貼った側も対象
- ただし相互リンクが全部ダメなのではない。「過剰な」「相互リンクのみを目的として」が条件。読者に説明できるリンクなら問題ない
- 「ドメインパワー」はGoogleが公開しているランキングシステムの一覧に無い言葉
この5社が悪意の塊だとは思っていません。おそらく、どこかで「相互リンクは効く」と教わって、そのまま何百通も送っているだけです。古い知識が、丁寧な日本語に包まれて、10年遅れで届き続けている。それがこの6通の正体だと思います。
怖いのは、同じ知識を持った人が、コンサルや制作会社の看板で目の前に座ることです。そのときは、さっきの質問をしてください。「それ、Googleのどのページに書いてありますか」。
※ 出どころ:Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」(2026年9月9日時点)、同「2022 年 12 月のリンクスパム対策アップデートのリリース」(2022年12月14日)、同「Penguin が Google のコア アルゴリズムの一部になりました」(2016年9月23日)、同「良質なサイトをより高く評価するために」(2012年4月25日)、同「Google 検索のランキング システムのガイド」、Search Console ヘルプ「[手動による対策] レポート」。メールの引用は、当サイトの問い合わせフォームに2026年8月18日〜9月9日に届いたものです。社名・サイトURL・氏名・メールドメイン・管理番号は伏せ、それ以外は原文のまま掲載しています。
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